この記事は
・モードファッションが好きな人
・ファッションデザイナーについて詳しくなりたい人
・ファッションと音楽の関係について知りたい人
には参考になると思います。
こんにちは
みなさんは好きなファッションブランドはありますか?
服や小物を買うときは、好きなブランドからチェックするという人は多いかと思いますが、そのブランドのデザイナーが誰かというところまで見ている人は少ないのではないでしょうか。
どれだけ気に入ったブランドでも何年かたてばデザイナーが変わっている場合もあり、そのことよってそのブランドのデザインが変わる場合もあります。
逆にブランドではなくデザイナーに着目して服を見ると、意外な発見がありファッションが楽しくなります。
この記事では以前サンローランでデザイナーを務め、現在ではセリーヌのデザイナーであるエディ・スリマンについて解説しようと思います。
この記事を読めば、「サンローランが好き!」という見方から「〇〇がデザイナー時のサンローランが好き!」というようによりファッションを深く楽しむことができます。
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エディ・スリマンの経歴
1.1 ディオールオムからセリーヌまで
これから21世紀で最もファッションの流れに影響を与えたデザイナーであるエディ・スリマンの功績を書いていきますが、彼は学生時代はフランスのルーブル学院で美術史を学んでおり、服作りは独学で学んでいます。
1997年から2000年までイブ・サンローランのメンズラインでデザイナーを経験し、2001年よりクリスチャンディオールのメンズラインとして新しくできたディオールオムのデザイナーに就任すると、ここから伝説的なショーを次々と手掛けていきます。
当時のメンズファッションは男らしいゆったりとした服が主流であり、パリコレではがっしりとしたモデルがワイドな服を着てランウェイを歩くことが一般的だったのですが、エディの作る服はその流れとは真逆のものでした。
彼はタイトなテーラードジャケットと極細でかなり裾の長いスキニーパンツをとっても細い体つきの女性のような男性モデルに着せ、若手バンドのロックミュージックをバックにショーを展開しました。
今でこそ定番化したスキニーパンツや極細のスーツスタイルは当時のヨーロッパでは女々しいスタイルという扱いがなされてましたが、エディのディオールオムがそのようなジェンダーレスなスタイルを発表して以降、世界中のメンズファッションの在り方が変わってしまったのです。
2007年秋冬のコレクションを最後にディオールオムのデザイナーを退いたエディはしばらくファッションの世界から身を引いていたため、世界中のファッショニスタが彼の引退を惜しみました。
しばらくの間はフォトグラファーとして活躍しておりましたが、2012年にイブサンローランにデザイナーとして戻ってきました。
低迷が続いたイブサンローランを蘇らせるため、ブランド名をサンローランパリへと変更すると、メンズレディース共にロックを基調としてエレガントでタイトなショーを展開していきます。
ディオールオム時代のジェンダーレスなスタイルをより洗礼させ、流行りに流されることなく、エディ独自のスタイルでサンローランの黄金時代を築きました。
サンローランではバイカージャケットやミニスカート、アンクルブーツといったラグジュアリーブランドが基本的には扱わないような大衆的アイテムを発表し、売り上げを前年比30%も伸ばすことに成功しました。
2016年、サンローランの復活を成功させたエディはデザイナーを引退し、フォトグラファーの活動を再開します。
ですが2018年秋冬シーズンよりセリーヌのデザイナーに就任、オーバーサイズを基調としたストリートブームが全盛の時代においてもなおタイトでロックなスタイルを貫きます。
これまでに比べるとワイドなパンツなどもありましたが、これらは彼が愛した80年代のクラブシーンを彷彿とさせるような形のスラックスであり、従来のストリートアイテムとは明らかに異なるものでした。
これからもセリーヌでエディのショーが見れるのが楽しみで仕方ありません。
1.2 エディ・スリマンの功績
エディがファッション業界へ与えた影響は凄まじいものがあります。
一つはメンズのファッションシーンにおいてジェンダーレスなスタイルを作り上げたこと。
ディオールオム在籍時代は同性愛などそれまでは背徳的とみなされていたものが、徐々に社会に受け入れられ始めていた時期であり、社会が勝手に定義していた男性らしさや女性らしさといった窮屈な偏見を、エディはファッションを用いて吹き飛ばしたのです。
特に日本でも定番化したメンズのスキニーパンツは、エディがいなければここまでの人気はでなかったかもしれません。
サンローランではよりタイトで華やかな色使いや、ヒールブーツなどの組み合わせによってジェンダーレスなスタイルをより加速させました。
またディオール就任時やセリーヌ就任時のファッション業界は、ストリートを基調としたワイドなシルエットが主流でしたが、エディは流行に流されることなく自分の得意とするタイトなスタイルを貫いたばかりか、周囲のストリートブームを終わらせてタイトでカッチリしたスタイルを流行に戻すほどの影響力をもっていることも彼の凄まじさの一つです。
スキニーやヒールブーツ、ダブルライダースジャケットなど彼の代表作は中古相場でもなかなか高価ですが、値段以上の価値があるものなので興味がある方はぜひオークションや古着やで探してみてください。
エディスリマンとロックミュージック
エディスリマンの提案するスタイルの根底には必ずロックがあります。
エディは若いころ華奢な身体がコンプレックスだったらしいのですが、同じような身体つきを活かして細身の華やかな服を着こなすローリングストーンズのミックジャガーやデヴィッド・ボウイに憧れ、彼らの音楽を聴いていたとのこと。
彼のジェンダーレスなスタイルは明らかにデヴィッド・ボウイの影響が見て取れます。
ディオール・オム時代のショーではイギリスのロックバンドであるリバティーンズのピート・ドハーティの着こなしをそのままもってきたようなスタイルを提案しました。
また彼のショーで使われるバックミュージックでは、まだ無名のバンドの曲がよく使われます。
ロックを愛する彼なりの若手バンドへの応援のようですね。
イギリスのロックバンドであるジーズニューピューリターンズはディオールオム時代のショーで曲が使用されて以降、一躍有名になります。
エディ以外にもファッションデザイナーはミュージシャンから影響をもらったと公言する人が多く、彼らのショーに使われている曲を調べることで自分の音楽の趣味を広げることができるので、音楽の趣向の幅を広げたい人は、ファッションショーに使われている音楽を注目しても面白いと思います。
エディ・スリマンに並ぶ偉大なファッションデザイナーたちを紹介
この記事を読んで、ファッションをブランドではなくデザイナーからみていく人が増えればとても嬉しいので、ここではエディ同様ファッションの流れを変えるほどの影響力をもったデザイナーたちを軽く挙げておきます。
偉大なデザイナーは歴史上何人もいるので、90年代以降にショーを発表したデザイナーに絞ってあげるならば、まずはヘルムート・ラングでしょうか。
彼から影響を受けたと公言するデザイナーは多くいます。
ファッションデザインを見た目ではなく思想を重要視したデザイナーにはラフシモンズやマルタン・マルジェラが挙げられます。
彼らの服は哲学性が強く一見すると奇抜でなかなか理解しにくいですが、中毒性があり服好きの人たちでこの二人が好きって人は多くいます。
日本人ではやはり山本耀司と川久保玲の二人は世界的に見ても偉大なデザイナーだと思います。
彼らがデビューしたショーは黒の衝撃と呼ばれ、その後のオールブラックファッションの根幹を作り上げました。
その黒を基調としたファッションのアンダーグラウンド性を強め、ダークな要素を前面に出したのがアンドゥムルメステールとリックオウエンスです。
ちなみにアンはマルジェラと学生時代同期であり、リックは先ほどのヘルムート・ラングから影響を受けたと公言している一人です。
僕はアンとリックの服が好きで、ショーは毎回見ていますし服もちょくちょく買ったりしているくらい二人のファンです。
アンはもう引退してしまいましたが、公認のセバスチャン・ムニエも素晴らしいデザイナーでした。
どうでしょうか。
この記事から色々ファッションの見識を広めてもらえば、ファッションを文化としてもっと楽しむことができると思います。
この記事が皆さんの参考になれば嬉しく思います。