この記事は
・ファッションのことを本質的に理解したい方
・次のファッションの流行が知りたい方
・ファッションに限らず様々な文化やアートが好きな方
には参考になると思います。
こんにちは
2010年代半ばから、ストリートファッションが流行しています。
流行に敏感な人や、SNSでファッションの情報を取り入れている方はこの流行を強く感じている人も多いのではないでしょうか。
この記事が書かれた2020年以降、この盛り上がりをみせたストリートブームは間違いなく衰退していきます。
今回はその理由と、これから来る新たなファッションの流れを解説していこうと思います。
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最近流行っているストリートファッションとは
1.1 代表的なストリートファッションのアイテム
今のストリートファッションを構成する上で欠かせないのが、まずはビックシルエットと呼ばれるオーバーサイズの服たち。
2010年代前半はスキニーパンツを筆頭に、お洒落に敏感な人の多くは全身タイトなIラインシルエットと呼ばれる服を着ていたように思います。
ですが2015年あたりからゆったり目のジャケットやTシャツ、ワイドパンツを着る人が増えてきました。
従来は身体にフィットして着るべきとされたテーラードジャケットですら、肩幅や袖丈を自分の身体よりオーバーサイズで着たりと、それまでのファッションの流れとは逆のシルエットが流行しました。
ダッドスニーカーを中心に、少しボリュームのあるスニーカーも代表的なアイテムの一つです。
1990年代にもスニーカーブームはありましたし、それ以降もファッションとしてスニーカーを履かれる方はいましたが、そのスニーカーの多くはナイキなどのスポーツブランドのものやコンバースなどのスニーカーをメインとして販売しているブランドのものがほとんどでした。
ですが今のスニーカーブームでは、ファッションブランドから沢山のスニーカーが販売され、新品価格も以前のスニーカーブームの時より高いものが多いです。
スニーカーのボリュームもより大きくなっているものが多いのも特徴の一つかと思います。
ブランドロゴのついたアイテムというのもこのストリートファッションの流行と切り離せません。
ロゴはストリートファッションとは関係ないようにも思えますが、ストリートファッションとは非常に大衆的な性格をもっており、モードブランドの服が持つような難解な哲学性などはなく、わかりやすいカッコよさというのが重要視されます。
ファッションロゴは一目見てブランドの服を着ているということがわかるわかりやすいアイテムであり、多くのストリートブランドがロゴを取り入れ始めたばかりか、その人気ぶりに着目した大手のハイブランドからもロゴをプリントしたわかりやすい服たちが売られ始めました。
1.2 ストリートファッションが流行った背景
まず前提としてファッションの流行は一定のサイクルがあります。
ほんとに簡単に説明してしまうと
ストリート → モード → ストリートという繰り返しが数年おきに現れてきます。
説明しやすいように省略しましたが、実際にはモードとストリートのような単純な二項対立ではなく、服の形、着方、素材やアイテムそのもの自体(テーラード、MA-1等)、髪型などの様々な要素が、流行として繰り返してます。
そして繰り返されながら現れる流行は基本的に、前の流行の反動によって真逆のものが現れます。
2010年頃までは細身のファッションが流行していた反動がストリートファッションを生み出したと考えることができます。
また社会が成熟してきた結果、黒人の人たちがファッションデザイナーとしての地位を獲得できたこともストリートブームの背景にあります。
オフホワイトのヴァージル・アブローやカニエウェストなどが例ですね。
2000年代にも黒人のデザイナーはいましたが、あくまでその時流行っていたBボーイファッションのブランドをラッパーが手掛けている程度で、現在のようにファッション界の中心で黒人デザイナーが活躍しているのは近年になってからだと思います。
それだけ人種の壁が薄れてきたということでしょうか。
またSNSの盛り上がりもストリートファッションに影響を与えました。
インスタの写真に投稿されるコーデに求められるのは、生地感や縫製、細かなシルエット、デザインに込められた哲学などではありません。
写真ではそんなものは伝わりませんからね。
それよりもどこのブランドのロゴを着ているかということのほうが、写真から伝わる情報量は多いわけです。
SNSブームがファッションにわかりやすさを要求した背景がストリートブームにはありました。
ストリートファッションが終わると思う理由
2.1 なぜストリートブームは終焉するのか
流行は繰り返され、その反動によって新しい流行が作られてくるということを述べてきました。
ストリートブームは数年もの間続いており、いつその反動がきてもおかしくありません。
その兆候として挙げられるのがモード界の伝説的なデザイナー、エディ・スリマンがファッション業界にセリーヌのデザイナーとして復活したことです。
エディは全盛期のディオールオムやサンローランでメインデザイナーをしていた方で、ロックをベースとした非常に細身のスタイルを得意としています。
スキニーパンツやタイトなジャケット、ヒールブーツなどは過去発表されるたびに人気を博してきました。
そして面白いことに彼がファッション業界で活躍している間は毎回細身のファッションがトレンドになります。
過去にもストリートブームはあり、2000年代には非常にオーバーサイズな着こなしが街にはみられましたが、エディがディオールオムでコレクションを発表して以来オーバーサイズのトレンドは影を潜めていたと思います。
エディはファッション業界からしばらく離れていましたが2019年の春夏からセリーヌのデザイナーとして活動しています。
そしてこれをきっかけに、バレンシアガなど近年ストリート要素の強いアイテムを発表していたブランドが、2020年よりドレス性の強いアイテムを発表しており、これはトレンドの転換点と考えることができます。
2.2 2020年以降は綺麗めなアイテムが流行る
ストリートの反動によって流行るものは、それとは真逆なカッチリしたドレスライクなアイテムです。
具体的にはテーラードジャケットやスラックス、タイトなパンツや革靴(ブーツ)といったアイテムです。
2020年あたりから、モードブランドやメゾンブランドでこれらのアイテムの取り扱いが多くなりました。
印象的なのは、ヒールブーツ等ジェンダーレスなアイテムも多数見られたこと。
ドレスライクなだけでなく、ファッションのジェンダーレス化もこれから進んでいくのかもしれません。
ユニクロなどのファストファッションからもセットアップ販売の数が増えており、間違いなくドレスライクなトレンドがこれから増えていくと思います。
2.3 ストリートファッションはもうダサい?
結論から書くと全くダサくないです。
あくまでも盛り上がっていたストリートブームが落ち着くだけの話。
流行が終わり定番化される着こなしやアイテム、ブランドもあるでしょうし、完全に廃れていくものもあります。
先ほどファッションの流行は繰り返されると述べた通り、廃れたスタイルもいつかまたトレンドとして復活します。
流行を全く意識せずにファッションを楽しむのはなかなか難しいことですが、あまりネットや周りの目を意識せずに自分の着たい服を着ましょう。
この記事が皆さんの役に立てれば嬉しく思います。