この記事は
・モードファッションに興味がある人
・ファッションの知識を深めたい人
には参考になると思います。
コムデギャルソンのデザイナー川久保玲とヨウジヤマモトのデザイナー山本耀司を知っていますか
僕は割と日本人であることに誇り?をもっているタイプで、日本の文化を広めたいと考えるような人間です。
なので着用している洋服のブランドも意識的に日本のものが多くなったりしています。
日本的なものというと着物という答えが一番先に浮かぶ人もいるのではないでしょうか。
それも正解だと思いますが、ファッション業界特にモードの中では少し異なります。
みなさんは黒の衝撃という言葉を聞いたことがあるでしょうか。
ファッションが好きな人なら聞いたことがある人も多いかと思います。
日本のファッションデザインが世界一流のレベルにまで押しあがるきっかけをつくった黒の衝撃がどんなものなのかを解説していきますので、ファッションの知識を身に付けたい人 はぜひ読んでみてください。
黒の衝撃とは
1980年より前のファッションの中心は完全にパリを中心とした西ヨーロッパでした。
華やかな色使い、きらびやかな装飾、身体に沿ったボディラインをみせるシルエットがモードの支流で、その流れは長期的に続いていました。
そんな中現れたのが山本耀司と川久保玲という二人の日本人デザイナーです。
当時の流れとは真逆の黒一辺倒の世界観、身体のラインを隠したゆったり目のシルエット、穴があいてたり破れたりしているボロボロの生地。
上記の要素を詰め込んだ実験的な服は賛否両論はあれど、モードの世界に革命をもたらしました。
これが黒の衝撃です。
これらの服は「みすぼらしさ」や「ぼろルック」という言葉がキーワードとして用いられ、当時の西欧人たちを驚かせたとのことです。
ではなぜこのようなデザインが発表され、ここまで業界を揺るがしたのか。
このことは多くの評論家が分析しているので、それらの分析やデザイナー本人の言葉をまとめて書いていこうと思います。
他のブログ記事でもたびたび書いていますが、彼らデザイナーに共通しているのは当たり前と思われている常識や概念を疑うこと。
これはファッションに限らず、私たちの普段の生活でも重要なことだと思います。
上記のデザインに限定して言えば、なにが高級なものかという問い、女性らしさとはなんなのかという問いに対しての解答をヴィジュアルで示したものでした。
もともと西欧のモードで用いられていた装飾的で華やかな色使いというのは、それが高級な服の象徴だから用いられていたという側面がありました。
ではなぜこのようなデザインが高級なのでしょうか。
誰がどんな理由で決めたのか、よくよく考えると疑問です。
そのことをはっきりと示すかのように、山本や川久保は高級な素材に穴をあけ、引き裂きました。
そして華やかさとは対称の黒を用いました。
ボロボロになった服=価値の低いものではないのではないかという主張がそこに見出せます。
西欧の文化を否定するように、ゴージャスな素材の服にダメージを与えていったのです。
新しい価値観を提案する服
モードファッションを知るうえでジェンダーというテーマがよくあげられます。
例えば女性らしさ(男性らしさでも同じことがいえる)ということ。
歴史をみればジェンダーにおける~らしさというのは時代や地域によって大きく異なります。
そのことを考えると女性らしさという概念を固定して押し付けてしまうのは、非常に価値観が狭く、不自由なことだともいえるわけです。
西欧のモードにおいて主流の身体に沿ったシルエットというのは、女性らしいボディラインを強調するためのものでした。
しかし彼ら二人が用いたシルエットはゆったりしててドレープの効いた、身体のラインがでないものでした。
そこに先ほど述べたようなダメージがついてくるのだから、そのシルエットは不成型でラインがつかみにくい。
そこには当たり前と思われていた女性らしさへの疑問が見え隠れすると同時に、ジェンダーの境界そのものをなくしてしまおうという試みを感じます。
男性だからとか女性だからではなく、自分という誰とも違う一個人として、服を選ぶ権利が自由にあるという意味がそこには込められています。
ファッションにおける日本的なもの
日本的な服という視点から語りますと、山本と川久保の服は今までの西欧の服にはみられなかった点でも日本独特といえることができます。
また先ほど述べた不成型でアウトラインがつかみにくいシルエットは、着物の形を抽象化したものと捉えることができます。
アシンメトリーという形は服に限らず、建築など日本の美的な要素の一つと言われています。
彼ら二人や、三宅一生の活躍により日本のファッションは世界の一流レベルへと押し上げられました。
今では沢山の実力のある日本人デザイナーが活躍しており、服が好きならば一度調べてみてはどうでしょう。
「ドメブラ・コレクション・モード」などのワードを組み合わせると色々情報が見れますよ。
またマルジェラやアンドゥムルメステール、リックオウエンスなどのトップデザイナーたちの発表するコレクションを見てみても山本や川久保に影響を受けていることがわかり、同じ日本人として嬉しくなります。
ぜひこのブログを読んで日本人クリエイターへの興味をもってくれる人が増えればいいなと思っています。
この記事が皆さんの役に立てれば嬉しく思います。